先日、「LINEが11月にも上場する」と報じられ、大きな話題となった。上場が実現すれば今年最大規模のIPOとなる見通しで、時価総額は1兆円以上になるとみられている。LINEの親会社は韓国のネット大手NAVERで、ライブドアを買収した経緯がある。
◆LINEが11月にも上場か?今年度最大のIPOになる見通し。ライブドア事件を思い出そう(人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏)
 この原稿を書いている時点では、まだ正式な発表はないが、複数のメディアが「LINEが東証に上場申請をした」と報じている。早ければ今年の11月にもIPOが行われる見通しだ。LINEの時価総額の目安だが、類似サービスで世界シェア第1位のメッセージングアプリであるWhatsAppを、米Facebookが190億ドル(約2兆円)もの巨額で買収することから、この金額が比較対象になっている。
 LINEはスマートフォンの普及とともに爆発的にユーザー数を獲得し、現在国内5000万人、世界では4億人を超えている。対するWhatsAppは、アクティブユーザー数が約4億5000万人程度だといわれている。単なる登録ユーザー数とアクティブユーザー数を直接比較はできないが、WhatsAppが2兆円なら、LINEが1兆円でもおかしくはないだろう。
’14年4月2日、LINEは4億ユーザー達成を発表した。年内にも5億ユーザーを達成する見通しだ(出所:LINE株式会社)
 上場するのはLINEアプリとポータルサイトなどを運営するLINE株式会社という日本法人なのだが、親会社は韓国最大のインターネットサービス会社のNAVERである。そして、NAVERが日本での事業を展開するために’10年に買収したのが、あのライブドアなのだ。そのときの金額はわずか63億円であった。
 当初は、NAVERの主力事業である検索エンジンを日本で普及させるためにライブドアのポータルサイトを利用しようとしていたのだが、同社の日本法人がつくったLINEが爆発的に日本で普及し、当初の検索エンジンのビジネスは忘れ去られることになった。
ライブドアは’06年1月、証券取引法違反容疑で、当時のCEOだった堀江貴文氏らが東京地検特捜部の強制捜査の末に逮捕された。一時は1兆円に迫る勢いだったライブドア株は、会社が保有している現金などの資産価値の3分の1程度にまで株価が暴落した。外資系の証券会社や海外のヘッジファンドが保有資産の価値よりも大幅に安くなっていたライブドア株を大量に買い占め、その後、持っていた資産を配当として株主に支払わせることにより、莫大な利益を上げた。こうしたハゲタカファンドが、ライブドアが保有していた資産を配当で搾り取ったあとにライブドア株を売却した先が、韓国のNAVERだったのだ。
 当時は「虚業」で儲ける堀江貴文氏のような人物はけしからん、というような世論がつくられていた。しかし、そのライブドアが韓国資本に二束三文で買い叩かれて、こうしてまた陽の目を見る機会を得たのは大変面白い。そして時価総額も、ライブドアが届こうとしていた1兆円を超えてくるかもしれない。1兆円といえば、日本のNECや関西電力より上で、ソニーの約1兆7000億円にも劣らない規模だ。LINEアプリだけの「虚業」も、ずいぶんと高く評価されるものだ。韓国資本のNAVERも大儲けだろう。