西武鉄道やプリンスホテルなどを傘下に持つ西武ホールディングスが23日に上場します。

同社の経営危機が表面化してから約10年が経過しますが、同社の再建をめぐっては投資ファンドと会社側の対立が続いてきました。ようやく上場にこぎ着けたわけですが、根本的な問題はまだ解決されていません。

かつて西武グループは創業家出身でカリスマ経営者といわれた堤義明氏がオーナーとして君臨していました。堤氏は政治家とのパイプも太く、自民党の総裁選に影響を与えるほどの力を持っていたといわれています。

しかし同社グループは、バブル期の過大な不動産投資の損失処理に悩まされ、徐々に経営が傾いてきました。2004年になって堤氏は有価証券報告書の虚偽記載の責任を取ってグループ・トップを辞任し、翌2005年には証券取引法違反で逮捕されてしまいます(執行猶予付きの有罪が確定)。

 西武グループはこれを期に上場廃止となったのですが、同社には多額の有利子負債があり、同社のメインバンクであったみずほグループの管理下に置かれることになりました。現在の西武HDの後藤社長はみずほグループから送られてきた人物です。

 みずほグループが西武グループの経営再建を実施するにあたり、出資者として協力を仰いだのが米国の投資ファンドであるサーベラスでした。サーベラスは約1040億円を出資し、西武HDはこの資金を使って本格的な再建を始めることになりました。

当初、会社側とサーベラスは蜜月関係でしたが、西武HDが再上場する計画が具体化してきた2012年頃を境に状況が変わってきました。その最大の理由は再上場時の株価です。

 再上場時の株価として想定されたのは1200円から1500円の範囲だったのですが、サーベラスが出資した価格は約920円です。米国の投資ファンドは年10%以上のリターンを期待しているといわれており、その水準からすると安すぎる株価ということになります。

サーベラスは西武HDに対して、もっと高い価格でなければ上場する意味がないとして、上場の取りやめを依頼しましたが、後藤社長は、株価は市場が決めるものとしてサーベラスの要求を拒否。これをきっかけに両者の泥仕合が始まってしまいます。

サーベラスは2013年5月、西武HDに対して公開買い付け(TOB)を実施しましたが、目標の12%には遠く及ばず買収は失敗に終わりました。結局、サーベラス側が折れて、今回、上場する運びとなったわけですが、設定された公募価格は1600円となっており、前回とあまり変わっていません。

 この価格では想定する利益が得られないことから、サーベラスは株式の売却を見送る方針を固めています。会社側としては、上場を機にサーベラスに株を放出してもらい、関係を清算したかったわけですが、結局、大株主としてそのまま残ることになってしまいました。同社の株価や今後の経営方針をめぐって、再び会社とファンドが対立するという事態が発生する可能性は少なくありません。(The Capital Tribune Japan)